地理とネットから見えてくる可能性

リモートワークなど、ある程度の物理的な要因を無視できる現状でも完全に地理を無視できるわけではないため、両方を視野に入れつつ考察するブログ

神戸は衰退すべき土地である

前置き

強い言葉を用いて釣っていますが本来あるべきタイトルは「神戸は衰退しても仕方がない土地である」もしくは「神戸は混在緩和のため栄えすぎてはいけない土地」であり、神戸は非常に魅力的な都市で神戸をバカにする意図はありません

水深が確保できる天然港、神戸を支える企業群、かつて株式会社神戸市と言われるほど優秀であったが阪神淡路大震災による壊滅的被害など様々な地理的、歴史的要因があって現在の神戸があるのは承知していますが、関西地区、正確には大阪平野の人口100万以上の港町として神戸が機能していることは適切なのか疑問に思うことがあるため、その旨を記述するブログになります。

なぜ疑問視するのか

端的には下図の通り、神戸の中心地である三宮周辺に地理的余裕がないことが主に問題視している点になります。

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埋立地ポートアイランド六甲アイランド

土地がないからこそ神戸には大規模な埋立地(+山間部の開拓地)が非常に重要な要素となります。

国からの阪神淡路大震災の復興支援が不十分であったために、最近になってようやく震災復旧債の返済が完遂し、大阪から六甲アイランドまでで止まっていた高速道路が延伸することが決定しました。近年の神戸の衰退の本当の理由は国の震災への対応にあると思いますが追求はここでは置いておいて、高速道路延伸の決定は阪神高速の渋滞解消につながり、神戸だけにとどまらず日本にとっても明るい未来であり非常に良いことです。しかしその道路は海上長大橋を建設することとなっています。

海上長大橋なので見栄えは良くなる可能性が高く観光資源になるとも思いますが、両者埋立地は非常に離れた場所に位置しているのが土地空間の無駄遣いであり、延伸する高速道路の費用の増大にも繋がり非常にもったいなく感じます。

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埋立地の作り方次第で神戸がより人口が増えても大阪平野の港町としての適性を保ち続けることができたと思いますが、現状では無理矢理感が否めません

船舶の航行に支障をきたさないようにする必要があるため、東京のお台場、豊洲、勝どきほどの本土との接続性の実現は無理ですが、もう少々距離を縮めて物流拠点や研究施設だけではなく、住宅地や学校、病院などの住民サービスに関わる施設の立地場所としての適性を高めるために本土との接続性を高めるよう建設すべきです。

横浜は神戸と違って埋立地を住宅地や商業地にする必要がないという地理的アドバンテージがありますが、以下画像(横浜、川崎)からも分かるように非常に効率的に整備されています。

コロナのおかげで良くなりましたがポートアイランド線は混み過ぎです。今後もリモートが継続されたとしても本来あるべきリモート化であれば物流、教育、セキュリティ等どうしても人の移動が必須または推奨となる場合が多々存在し、ポートアイランド線の混雑はポートアイランドのネックとなり続けます。以下図の様に利用者低迷に悩む市営メトロ海岸線(下図青線)をハーバーランド経由ではなく、下図ピンク線の様にポートアイランド経由で三宮に接続できていれば良かったと思います。ついでに山陽電鉄と相互直通して明石から直でポートアイランドにアクセスできればさらに良し。

神戸港について

神戸港について触れずには終われないので触れていきます。単刀直入に言うと、かつての様な神戸港復活のため税金を投入する必要はないと考えています。

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今現在、国際戦略港に東京湾港(横浜)と大阪湾港(阪神)が指定されていますが、大阪湾港は名古屋と同レベルの国際拠点港に格下げし、従来のハブ港としての国際戦略港は東京湾港のみとし、別の観点から福岡(+北九州、下関)と札幌に近い苫小牧港を国際戦略港に追加すべきです。以下箇条書きにまとめます。

  • 国際戦略港(京浜、福岡、北海道のみ)
  • 国際拠点港 (阪神、名古屋など)

かつて神戸港シンガポール以上の国際貿易港でしたが、今は関西地区を代表する貿易港と形容する方が妥当な状況です。(昔より貨物量は増えていますが、相対的な地位は大きく下落) https://www.mlit.go.jp/common/001358398.pdf

諸外国が経済力をつけ、東アジアのハブ港として「シンガポール⇄広州(香港)⇄上海⇄釜山」が存在します。国際的なハブ港としてはこれら拠点を考慮した広い視野を持つべきです。その際に大阪湾港と東京湾港とで国際戦略的なハブ港機能を分散させる必要があるのか非常に疑問です。災害のために2拠点を国際戦略港として位置付けたいとする考えであれば、2拠点で可用性を担保しようとすることが間違いです。東京湾港の物量を大阪湾港のみでカバーできるはずがありません。サーバーの可用性と同じです。CPU稼働率70~80%の2サーバーの片方が停止すると、もう片方が2サーバー分の負荷(単純計算で稼働率140~160%)を処理できるわけではないのでもう片方も同時に機能しなくなります。災害時のために大阪湾港、名古屋港、仙台港などの主要都市の国際拠点港だけではなく、JR貨物なども一丸となってカバーできる仕組みを構築する方が賢明です。また南海トラフや相模トラフの様な大規模災害を考慮するのであれば福岡、北海道の方が優位性があります。

ちなみに横浜と神戸を比較して横浜を選ぶ理由は大きく2つあります。

1つ目は地理的理由として横浜は日本の東に位置し、太平洋側(アメリカ大陸)との輸送に優位性があることからハブ港としての適性も高いこと。対して神戸は東に横浜、西に釜山や福岡が存在します。

2つ目の理由は純粋に東京と大阪の需要差です。

 

ちなみに福岡と苫小牧を国際戦略港として重要視する理由については以下の通りです。

福岡の場合、ハブ港として釜山の地位を巨大な赤字を抱えてまで奪うつもりは基本的にはありません。ですが競争相手を無くした場合、日本にとって釜山港は非常にリスクです。日本の物流を他国に依存しないため、またぼったくられない様に福岡が脅威である必要があります。そのため広島西部から九州地区を代表する港として無理なく機能させ、常に釜山側に問題があれば主導権を奪うことが可能なポテンシャルを維持するべき重要拠点です。

そもそも釜山をコンテナハブ港の要所に韓国が選定するのは、軍事的な要因を除けば明らかに日本への挑戦であり、韓国国内だけを考慮すれば仁川の方が適切です。日本海の入り口かつ朝鮮統一後を見据えるのであればユーラシア大陸の端に位置するメリットから釜山がコンテナ港として優れていることは確かですが、日本海に面する経済的に優位な都市の多くが日本の都市(日本以外はウラジオストック等に限られる)であることから、ハブ港として、フィーダー輸送に関しては本来福岡のほうが適切です。

ちなみに関門海峡の水深や鉄道網から北九州と愛媛が共同管理できれば、九州と瀬戸内工業地域全域をカバーできることからより良いでしょう。

JR貨物路線図リンク:エリア別サービス案内 | JR貨物

 

苫小牧(北海道)の場合北極海ルートが本格的に利用される様になった場合、非常に有益な拠点となることが理由です。その他にも釜山と同様日本海の入り口であり、日本海側の各都市にも(新潟、金沢、富山だけではなくウラジオストックにも)重要な港です。現状では北極海ルートを活用するには時期尚早ですので、札幌付近の港として無理なく機能させつつ、いざという時のために拡張性を担保すべき重要な港です。

関西3空港(関西国際空港伊丹空港神戸空港

まず最初に位置関係を把握するために以下図を添付します。

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関西国際空港遠いとよく言われますが、「なにわ筋線」建設計画等によって現在進行系で良い空港に変化していると思います。(正直なにわ筋線もまだ大阪メトロが市営だった際に大阪市がでしゃばらず、四つ橋線南海本線天下茶屋あたりで接続できる様に建設すればよかっただけだろバカじゃねえのとは思いますがここでは保留。)また遠いからこそ騒音に対しての強みがあり国内で初めて24時間空港化できました。現状の伊丹空港と上手く棲み分けができており、結果的に良い方向に進んでいると思います。よく比較される成田空港とは大違いです。

ちなみに東アジアを代表するハブ空港になれるかと言うと私は否定的です。北米とアジアを結ぶ中継地として本来は新千歳、羽田、成田が適切です。ただし新千歳は大圏航路上でありつつ最短距離だが降雪による運休、羽田は需要的に最高だがキャパシティ、成田は24時間化できていない点に問題を抱えるため、これら問題の尻拭いをする形で関空ハブ空港として成立すると見るのが妥当です。なおその尻拭い役としても日本の西に位置しつつ同じく24時間空港の北九州空港と競合します。見方を変えればハブ空港としては下記インチョンの存在からも互いの短所を埋められるように協力するべきです。

同じくアメリカと同盟国である韓国のインチョンと競合することは無視できません。旅客輸送でこそ羽田の方が上回っていますが、ハブ空港として重要である貨物輸送に関してはインチョンが上回っています。

世界の空港_各種ランキング:http://www.jadc.jp/files/topics/42_ext_01_0.pdf

 

伊丹空港全国的にも利便性の良い空港ですが残念な点を残しています。近隣の自動車でアクセスする人達からすると利便性は良い方ですが、主に公共交通機関で移動する人々にとって航空写真から見るほどの利便性はありません。阪急梅田からはモノレールに乗り換えが必要ですし、そもそもモノレールは速達性が乏しいです。今後も継続して運用していくのであればアクセス性は改善すべきだと思います。見方を変えれば、少し手を加えれば福岡空港に並ぶ好アクセス空港と言えます。

仮に関空神戸空港の存在から航路が分散して利便性が悪化を防ぐため廃止するとしても、ドローン配送機能を持った物流センターや、特定エリアへの空飛ぶタクシー、消防、医療ヘリ拠点として生まれ変わることが可能なポテンシャルを秘めている拠点です。米軍に制空権を握られている東京には不可能なことです。屋上にヘリポート等のあるタワマンとのシナジーも良く、可住地が限られている神戸においても何かサービスを生み出せそうです。

 

神戸空港伊丹空港同様に残念な点を残しています。ポートライナーの輸送力に関してですが、三宮まで20分かかることも気になりますが、新神戸まで乗換なしでアクセスすることができません。将来海外線の拡充を考慮した際、京都までのアクセスが非常に悪いことがネックになります。大阪用の空港としては伊丹空港にはどうしても劣りますが、神戸空港は(新快速があるから十分と考える人もいるでしょうが)新幹線を考慮すれば京都用の空港としてもストレスなく活用できるポテンシャルを秘めている分残念です。また新神戸と地下鉄で繋がっていれば中四国地方のための国際線空港としても活用でき、より関西地区の国際的な影響力を向上させるほどのポテンシャルを秘めていたのではと思います。

とは言え神戸空港の存在は非常に重要で、住宅地に近い伊丹空港をいつ廃止しても良いという状態を作り出すために利便性の神戸空港、24時間空港でキャパシティのある関空が両立していることは将来性があって良い状態です。

補足

今後は本来県庁所在地として適切な明石や加古川(播磨)方面も意識して新開地や新長田付近を忘れずに再開発を行い、無駄に張り合わず明石や大阪とも協力して互いに発展し合っていければ神戸のもつ地理的メリットがさらに発揮でき、さらなる発展ができるのではないかと思います。

 

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